アロマあれこれ le quatre-vignt

アロマの勉強中。使ってみたアロマオイルやアロマ関連書籍の紹介も

花衣 ぬぐやまつわる(先行きの見えぬときの本)

田辺聖子さん(お聖さんと呼ばせてもらいますが)
小説も、エッセイも素敵です
お聖さんほど大阪弁を美しゅう書いてくれる
書き手さんは、他には居てはらへんと思ってます。

けど、この本は「評伝」
「花衣 ぬぐやまつわる ひもいろいろ」
で有名な杉田久女さんの評伝

正直、久女さんにまつわるスキャンダルとか
全然知らなくて、中に出てくる女性俳人も「?」なのですが


もっと運が良かった女性もいるのに
もっと世智のあるやり方をできる女性もいるのに
あまりに生真面目というか
純粋というか
俳壇の巨人で師でもある虚子に
心底真髄するあまりに
虚子との間にすれ違いを生んでしまう

それまでの久女評
(プライドが高く、他の女性俳人への嫉妬が強く
あれこれと醜聞が…)
一つ一つ、裏返していくのですけど
お聖さんの筆は、久女一辺倒でもない
でもとても慈しみ深い

久女さんと夫の宇内さんとの確執

結婚している女性が
「自分のやりたいこと」と「家庭」との間で
二進も三進も行かなくなる

常識的な結婚観に囚われて
自分の妻を人間としてみていない夫
やりたいこと、やるべきことに邁進してしまう
でも常識的な妻や母でもいなくてはと思う妻

淡々と描かれていた筆が
この二人を書くときだけ
熱を帯びる。

今の世にもあることだから

そんなことを考えながら
最後のほうに行けば行くほど
ページをめくる手が重くなる
辛い結末が見えてきて

それでも
「そう生きるしかなかった」女性の
愚かさも、しんどさも、見事さも
全て書いてくれています

何事かで生き方に迷ったときに